はかナビ~葬儀とお墓と仏壇の読み物~

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遺産分割の方法と手続き

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遺産分割

遺産分割とは

被相続人の死亡によって相続が開始した時に、複数の相続人がいる場合は、相続人全員で相続財産を共有している状態になっています。
このような相続財産の共有状態は、できるだけ早く解消する必要があります。

各相続人がどのような形で相続するのかを決めて、財産を分配するために行う手続きが遺産分割です。

遺産分割は相続開始後10ヵ月以内に

相続人は、原則としていつでも、遺産分圧を行うことができます。
ただし、相続税の申告期限は相続開始後10ヵ月以内ですので、それまでに遺産分割を済ませたほうがいいでしょう。

法定相続分と異なる財産の分配が可能

遺産分割では、法定相続分とは異なった割合で、各自に分配される内容や金額などを決めることができます。
たとえば、妻と子ども2人が相続人の場合、妻の法定相続分は2分の1、子ども2人の法定相続分はそれぞれ4分の1になります。
しかし、実際の遺産分割では、妻と子ども2人の全員に、相続財産を3分の1ずる分配することもできます。

また、相続人の話し合いによる協議分割で、1人の相続人に相続財産をまとめて相続させる遺産分割を行うことも可能です。

遺産分割が禁止される場合

原則としていつでも行える遺産分割ですが、例外もあります。

たとえば、被相続人の遺言によって、一定期間遺産の分割が禁止された場合などがあげられます。
このような場合には、定められた分割禁止期間が過ぎるまで、遺産分割はできません。

また、相続人同士の協議や調停、家庭裁判所の審判によっても、一定の期間、分割を禁止することができます。

たとえば、相続が開始したときに、相続人である妻が妊娠していて、その胎児が出生後に相続人になる場合などは、遺産分割を禁止することにメリットがあるでしょう。

遺産分割を禁止できる期間は、遺言、協議、調停の場合は、どれも相続開始時から5年が限度とされています。

遺産分割の3つの方法:現物分割、換価分割、代償分割

遺産分割の主な方法は、次の3つです。
また、複数の相続人が相続財産の全部または一部を共有する分割方法も認められています。

現物分割

相続財産を現物のまま相続人それぞれに分ける方法

例)家と土地は妻に、現金は長男に、株式は次男に分配する

換価分割

相続財産の一部または全部を金銭に換えて、その代金を分ける方法

例)家と土地を売却して、その代金を妻・長男・次男で分配する

代償分割

特定の相続人が相続財産を現物のまま取得する代わりに、他の相続人に金銭など自分の財産を与える方法

例)家・土地・株式・現金をすべて妻が受け取り、長男と次男に金銭を支払う

遺産分割の4つの手続き

遺産分割を行うための手続きとしては、次の4つの方法が挙げられます。

通常は、遺言による指定分割か、協議による分割の手続きで遺産分割方法を決めます。
相続人同士の話し合いによる分割がうまくいかない場合は、家庭裁判所のチカラを借りて分割方法を決めます。
調停による分割をおこない、それでも決まらない場合は審判による分割の手続きとなります。

遺言による指定分割

  • 被相続人が遺言で遺産分割の仕方を定めるもの
    第三者に分割方法を決めるように委託する場合もある
  • 遺言にしたがって実際に遺産を分割するのは遺言執行者になる
  • 分割方法の指定があっても遺言執行者が存在しなければ、次の協議分割によって指定と異なる分割をすることもできる

協議による分割(協議分割)

  • 相続人全員の話し合いと合意で遺産を分割する手続き
    相続人の1人が遺産分割を求めた場合、他の相続人は協議に応じなければならない
  • 協議には相続人全員の参加が必要で、一部の相続人を除外して行われた遺産分割協議は原則として無効

調停による分割(調停分割)

  • 家庭裁判所の調停に基づいて遺産を分割する手続き
  • 調停では調停委員や家事審判官が相続人の話し合いを仲介し、参加者全員が納得することのできる遺産分割方法を探る
  • 最終的には相続人が決めます

審判による分割(審判分割)

  • 家庭裁判所の判断(審判)によって遺産分割の方法を決める手続き
    通常は調停分割が不調だった場合に行われる
  • 裁判所は、遺産に属する物や権利の種類と性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態、生活の状況などを考慮して審判を行う
  • 最終的には家事審判官が決めます

遺産分割協議書

相続人同士の話し合いによる協議分割を行った場合には、合意内容を文書にまとめておきます。
この文書を遺産分割協議書と言います。

遺産分割協議書は、協議の内容を明らかにする証拠となります。
協議の内容をめぐって、あとで相続人の間で争いが起こったとしても、遺産分割協議書があれば、解決しやすいと言えます。
そのようなトラブルを事前に防止する効果もあります。

また、遺産分割によって相続財産を分割した場合には相続登記相続税の申告など、相続に関するさまざまな手続きの際に、遺産分割協議書の提出が必要となります。

なお、遺産分割協議書の作成については、法律で義務付けられているわけではないので、作成しなかったとしても遺産分割が無効になるようなことはありません。

遺産分割協議書のポイント

  • 手書きでもパソコンで作成してもどちらでも構わない
  • 被相続人や相続人の氏名を明確に示す
  • 協議の結果、各相続人が取得することになった財産を具体的に記載する
  • 遺産分割が成立した日付を記載する
  • 相続人全員が署名し実印で押印する

遺産分割協議書はパソコンでの作成も可

遺産分割協議書は、書き方に特に決まったルールはなく、手書きでもパソコンでの作成でも構いません。

また、遺産分割協議書を公正証書にするのも1つの方法です。
公文書になるので、トラブルなどの際に証拠としての信頼性がより高まります。

遺産分割協議書作成のポイント

  • 相続税の申告時に必要になるので相続開始後10ヵ月以内に作成する
  • 誰がどの財産を相続するのかなど協議で決めた内容を正確に記載する
  • 作成を終えたら書面の内容に間違いがないかを相続人全員で確認する
  • 各自が実印で署名・押印する
    相続税申告時や相続登記の際などに各相続人の実印が押されていることを求められるため
  • 相続人の人数分を作成し各自が厳重に保管する

遺産分割調停

遺産相続をめぐって争いが起こり、相続人同士の話し合いでは結論が出せない場合などには、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てて解決をはかることになります。

遺産分割調停は、家事審判官(裁判官)と民間人から任命された調停委員で構成される調停委員会で執り行います。
調停委員会では、調停委員が相続人それぞれの主張に平等に耳を傾け、意見調整を試みたり、具体的な解決策を提案したりします。

調停は一般には公開されていないので、相続に関して他人に知られたくないことがあっても、外部に漏れる心配はありません。
最近になって、電話会議システムを利用して調停に参加することも認められるようになりました。

裁判所が遠距離にある場合などは、この制度を利用すれば時間的負担を軽減できるでしょう。

調停証書

調停がまとまった場合には調停証書と呼ばれる文書が作成されて、それに基づいて、調停の内容を強制的に実現することができます。
調停案に納得しない人がいて、まとまるのが困難になった場合は、家庭裁判所が審判手続きに移行させます。

遺産分割調停の手続き

申立人

相続人、包括受遺者、遺言執行者など(包括遺贈の場合)

申立先

ほかの相続人などの誰かの住所地の家庭裁判所か、当事者が合意で定める裁判所

必要な費用

被相続人1人につき収入印紙1,200円と連絡用の郵便切手

必要な書類
  1. 遺産分割調停申立書
  2. 被相続人の戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)
  3. 相続人全員の戸籍謄本・住民票または戸籍附票
  4. 遺産目録と当事者目録
  5. 遺産に関する証明書(不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、預貯金通帳の写しなど)
期限

相続開始後10ヵ月以内が望ましい(それ以降も可能)

未成年の相続人がいる場合

父母が若くして死亡した場合、相続人のなかに幼い子どもがいることもあります。
未成年の子が遺産分割協議に参加した場合、相続分を取り決める歳に不利な立場になってしまう可能性があります。

そこで、子どもを保護するという観点から、特別代理人を選任して、その代理人が遺産分割協議に参加することもあります。
特別代理人が必要なのは、親も相続人になっている場合や、親は相続放棄をしていて相続人である未成年の子が複数いる場合などです。
特別代理人が必要なのに選任せずに行った遺産分割協議は無効とされています。

特別代理人を選任するには、子の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てを行います。

相続人に認知症の人がいる場合

遺産分割協議を行う際には、協議に参加する人に適切な判断能力があることが必要です。

したがって、相続人のなかに、認知症知的障害精神障害などのために、そのような判断が日常的にまったくできない人がいる場合には、遺産分割協議ができません。
そのような場合は、家庭裁判所に後見開始の申立てを行って、判断ができない状態の相続人に代わって協議に参加する人を選ぶ必要があります。

申立てが認められ、家庭裁判所が後見開始の審判をすると、判断ができない状態の相続人は成年被後見人とされ、その人に代わって法律行為を行う成年後見人が選任されます。
遺産分割協議は、この成年後見人とほかの相続人との間で行われます。

後見開始の審判を申し立てられるのは、本人(一時的に判断能力を取り戻したような場合)、配偶者、4親等内の親族、検察官などです。

行方不明者の相続人がいる場合

遺産分割協議を行うためには、相続人全員がそろっていなければなりません。
したがって、相続人のなかに行方不明の人がいる場合は、そのままでは遺産分割協議を進めることはできません。

ただし、行方不明となっている相続人の財産を管理するために、財産管理人が置かれており、その人に遺産分割協議を行える権限が与えられている場合には、その財産管理人を交えて協議を行うことができます。
もし、財産管理人がいない場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人を選んでもらい、その人を交えて遺産分割を進めます。

また、行方不明となっている期間が7年以上の場合は、家庭裁判所に失踪宣告を求めることを検討してもよいでしょう。
失踪宣告が行われると、その行方不明者は7年が経過した時点で法律上死亡したことになるので、代襲相続がなければ、残りの相続人だけで遺産分割協議を行うことができます。

遺産分割協議のやり直し

遺産分割協議のときに約束したことを破ったなどがある場合、遺産分割協議をやり直す方法としては、約束したことを破ったことを債務不履行ととらえて、遺産分割協議の解除を行うという方法が考えられます。
しかし、債務不履行を理由として、他の相続人が遺産分割協議を解除できるかどうかについては議論があり、最高裁判所はそれを否定する判断を示しています。
解除を許すと、遺産の再分割をすることになり、法的安定性が損なわれるというのがその理由です。

ただし、最高裁判所は、相続人全員が解除に合意していれば、遺産分割協議の全部または一部を解除した上で、改めて遺産分割協議をすることは可能であるとの見解も示しています。