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3分でわかる!墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)とは?墓埋法について解説!

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墓地、埋葬等に関する法律(通称:墓埋法)

お墓はどこにでも勝手に建ててよいわけではなく、埋葬、火葬、改葬、墓地、納骨堂、火葬場などに関して定めている「墓地、埋葬等に関する法律」(墓埋法)で規定されています。
墓埋法は、戦後、昭和23年にできた法律です。
それ以前は、明治17年に出された太政官布達墓地および埋葬取締規則などによっていました。

墓地、埋葬等に関する法律の抜粋

   第一章 総則

第一条  この法律は、墓地、納骨堂又は火葬場の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的とする。
第二条  この法律で「埋葬」とは、死体(妊娠四箇月以上の死胎を含む。以下同じ。)を土中に葬ることをいう。
2  この法律で「火葬」とは、死体を葬るために、これを焼くことをいう。
3  この法律で「改葬」とは、埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すことをいう。
4  この法律で「墳墓」とは、死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設をいう。
5  この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事(市又は特別区にあつては、市長又は区長。以下同じ。)の許可を受けた区域をいう。
6  この法律で「納骨堂」とは、他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設をいう。
7  この法律で「火葬場」とは、火葬を行うために、火葬場として都道府県知事の許可をうけた施設をいう。
   第二章 埋葬、火葬及び改葬

第三条  埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く外、死亡又は死産後二十四時間を経過した後でなければ、これを行つてはならない。但し、妊娠七箇月に満たない死産のときは、この限りでない。
第四条  埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。
2  火葬は、火葬場以外の施設でこれを行つてはならない。
第五条  埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。
2  前項の許可は、埋葬及び火葬に係るものにあつては死亡若しくは死産の届出を受理し、死亡の報告若しくは死産の通知を受け、又は船舶の船長から死亡若しくは死産に関する航海日誌の謄本の送付を受けた市町村長が、改葬に係るものにあつては死体又は焼骨の現に存する地の市町村長が行なうものとする。

墓埋法から見る『墓』とは何か?

このように、墓埋法では、墓のことを墳墓と言っています。
この墳墓を死体の埋葬や焼骨を埋蔵する施設と定義しています。
つまり、墓埋法によれば、死体・焼骨以外のものを埋めたものや、石塔だけのものは、たとえ「〇〇の墓」と書いていても墓ではないということです。

そして、墓地を墳墓を設けるために都道府県知事の許可を受けた区域と定義し、埋葬や埋蔵をする場所は、この墓地に限っています。
そのため、広い庭や山林を所有していたとしても、許可のない土地に墓を建てて、遺骨を埋葬することはできません。
死体や骨は、墓地以外に入れてはいけないということです。

なお、墓埋法において、埋葬は死体を土中に葬ることとし、土葬について認めていますが、土葬は自治体の条例などでは禁止しているところが多くあります。

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焼骨、つまり火葬の場合については、埋蔵という用語を用いて区別しています。

納骨堂と墓(墳墓)は別

墓埋法によると、納骨堂は墳墓とは区別されています。

6  この法律で「納骨堂」とは、他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設をいう。

納骨堂は収蔵する施設と定義されています。
そして、他人の委託を受けて、ということなので、自家用の遺骨の安置堂は納骨堂ではありません。
自分の家に身内の遺骨を置くことは、一時的なものでなくても、違法ではありません。
収蔵は納骨堂に使われる表現です。
納骨堂は埋めることをしないからです。
墓の場合も、カロートに収蔵する形が多いですが、地下に収蔵することになるので、直接地下に埋めるものではありませんが、「埋」という表現になります。
一時的に焼骨を安置する場合は収蔵とは言いません。
慣習として、焼骨を一時、お墓に入れるまでお寺に預けて安置するということもありますが、これは納骨堂とも収蔵とも言いません。
一時的な焼骨の安置は収納ではなく、お寺の施設がそのために納骨堂とみなされることはありません。
また、お寺じゃなくても同じく、一時的に遺骨を預かることは、収納ではなく、納骨堂を経営することになりません。

墓(墳墓)とはどのような施設か?

墓として現在一般的なのは、霊園や墓地に墓塔が建てられ、その基部に焼骨を収納するスペースがとってあるという形式のものです。

その他、

  • 焼骨をじかに土中に埋め石塔など墓標を建てたもの
  • 墓標がなく土盛りだけのもの

などがあります。

墓としては、土が盛り上がっている必要はなく、土葬の場合などは、埋葬の施設と言っても、単なる土穴です。
本来は2m以上掘り、土をかぶせて埋めるだけです。
墓標をのせることが多いですが、それがなくとも墓と言えます。
土葬の場合、本格的な石塔などを建てるのは土が落ち着いた最低でも1年以上後が普通で、はじめは卒塔婆など木のものを建てるのが慣習です。
このように一見施設らしくなくても施設で、墳墓になります。

ただし、埋葬という表現が表している通り、葬るための施設が墓であって、殺人などの結果、死体を隠すために埋めた場合や棄てるために埋めた場合は、埋葬ではなく、死体遺棄で、墓ではなくただの土穴です。
墳墓ではなく、犯罪現場となります。

埋葬、火葬の定義

墓埋法において、埋葬は、死体(妊娠四箇月以上の死胎を含む)を土中に葬ることと定義されています。
つまり、土葬の意味で、死体をそのまま土に埋めることです。

一方、火葬は、死体を葬るために、これを焼くことと定義されています。
葬るために焼く場合は火葬になり、でたらめに死体を焼くことは死体損壊罪となります。

墓地新設の許可

墓地、納骨堂、火葬場の経営についての許可は、簡単に許可が出るわけではありません。
特に、個人が墓地等を持つことについは、山間僻地の場合を除いては許可を出さないという取扱いになっています。
個人の私有地の一部に墓地を新しく設けるということはまずできないと考えましょう。
墓地等を設けると、管理者を置いて、市町村長に届出をして、帳簿や書類を備えなければなりません。
墓地等の管理者は、埋葬、埋蔵、収蔵の求めを受けたときは、正当な理由がなければ、拒んではならないことになっています。

一方で、墓地等の管理者は、埋葬許可証、火葬許可証、改葬許可証のない場合は、埋葬、埋蔵をさせてはならず、収蔵もしてはならないことになっています。
火葬自体についてももちろん火葬許可証が必要です。
これらの許可は市町村長が行います。

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墓埋法成立以前のお墓は法律違反?

墓埋法は、昭和23年にできた法律で、その前の太政官布達は明治17年です。
それ以前からの墓で、しかも現在も遺族が残って、きちんと管理、法要している墓で、その地下には遺体が埋められているというものも現在でもなくはありません。
埋めてはいけないと墓埋法で決めていますが、法律成立以前に埋めた行為までは違法にはなりません。

しかし、墓埋法成立以後でも違法になるケースもあります。
それは、墓地としての許可のない場所にある江戸時代以来の先祖の墓へ墓埋法成立後に埋めたというようなケースです。
埋めたという行為は、違反なので罰せられることになります。
死体等遺棄罪になる場合には、3年以下の懲役となります。
あるいは、死体遺棄ではなく、葬るために許可のない場所に埋葬・埋蔵した場合は、墓埋法第4条の違反として罰金になります。

さらに、墓埋法第10条に

   第三章 墓地、納骨堂及び火葬場

第十条  墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2  前項の規定により設けた墓地の区域又は納骨堂若しくは火葬場の施設を変更し、又は墓地、納骨堂若しくは火葬場を廃止しようとする者も、同様とする。

とあります。
これに対する違反は6ヵ月以下の懲役か罰金とかなり重い罰則となります。
この墓埋法第10条でいう経営とは、自家用の墓地で利益目的でない場合でも経営にあたります。
しかし、自分が埋葬・埋蔵したものではなく、古い墓を壊さないで大事にしていることまでは墓地経営にあたりません。

刑法の規定

この墓埋法と併せて重要な法律は、刑法の規定(第188条~192条)です。
一括して礼拝所及び墳墓に関する罪と名付けられてます。

第二十四章 礼拝所及び墳墓に関する罪

(礼拝所不敬及び説教等妨害)
第百八十八条  神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所に対し、公然と不敬な行為をした者は、六月以下の懲役若しくは禁錮又は十万円以下の罰金に処する。
2  説教、礼拝又は葬式を妨害した者は、一年以下の懲役若しくは禁錮又は十万円以下の罰金に処する。
(墳墓発掘)
第百八十九条  墳墓を発掘した者は、二年以下の懲役に処する。
(死体損壊等)
第百九十条  死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。
(墳墓発掘死体損壊等)
第百九十一条  第百八十九条の罪を犯して、死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
(変死者密葬)
第百九十二条  検視を経ないで変死者を葬った者は、十万円以下の罰金又は科料に処する。

この中でも重要なのは、第190条の死体損壊罪です。
墓埋法を守らないで、死体を処分することは、第190条の死体損壊罪に引っかかることになります。
そのため、必然的に墓埋法に関しては遵守する必要があることになります。

その他、墓に関する法律

宗教法人法も関係してきます。
これは、墓や墓地そのものについて規定ではありませんが、墓地はお寺に所属しているものが多いので、この法律が必要となります。
その他、民法には相続に際しての墳墓等承継の規定がありますし、その他いろいろな法律が関係してきます。

日本と海外の違い

日本の法律では、船員法に定める水葬を除けば、土葬と火葬しかなく、墓か納骨堂だけでになります。
しかし、外国ではクリプト(crypt)というかたちがあります。
訳すと納屍堂となります。
棺に死体を収めたまま教会の地下室に収納する方法で、一時的に置くのではなく、墓と同じく永久に安置する方法になります。

この制度は日本にはありません。
墓埋法においてもこれについての規定はありません。