はかナビ~葬儀とお墓と仏壇の読み物~

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【保存版】知っておきたい遺言の基礎知識と遺言書の種類、検認、遺言執行者

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遺産分割協議の前には、遺言書を探します。
自筆証書遺言は、勝手に開封せずに、家庭裁判所に検認の申し立てをします。

遺言とは

遺言とは、自分の死後に法律上の効力を生じさせるために、一定の方式にしたがって、意思表示をすることです。

法的に有効な遺言にするためには、作成方法や内容について、守らなければならないことがいくつかあります。

まずは遺言書の有無を確認

人が亡くなると、7日以内に死亡届を役所に提出します。

boseki.hatenablog.com

その後、遺産分割の準備が始まります。
その際、まず確認しなければならないのが、遺言書の有無です。
遺産分割協議には、財産を取得する人全員の参加が必須なので、遺産分割協議が終わったあとに遺言書が発見されると、もう一度遺産分割協議をやりなおさなければなりません。

boseki.hatenablog.com

そうなると、相当の手間と労力が無駄になります。
遺品を整理しながら、遺言書が保管されていそうな場所を調べましょう。

故人の遺言が見つかっても開封してはいけない

故人の遺品整理などをしていたときに、偶然遺言書を見つけたとしても、あわてて開封してはいけません。
遺言書の種類によっては、開封する前に家庭裁判所の検認が必要な場合があります。
故人の意思を尊重した相続をするために、遺言について知っておきましょう。

見つかった遺言書(封印あり)が自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所で検認の手続きを行ってから開封します。
勝手に開封すると、5万円以下の過料が課されます。
封印のない遺言書は開封しても大丈夫ですが、検認は必要です。

遺言の種類と特徴

一般的な普通方式の遺言は、次の3つのうちのどれかによって行わなければならないとされています。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

遺言をする人の真意を明確に伝え、あとで相続をめぐる争いが生じるのを防ぐ必要があるためです。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者が全文、日付及び氏名を自書し、押印する必要があります。
公証人の関与は不要ですが、内容や様式に不備が生じる可能性があります。
また、偽造や変造、破棄の恐れもあるので注意すべきです。
さらに、相続開始後には、遺言書の検認手続きが必要となります。

  • 遺言者が遺言書の全文、日付、氏名を自筆で書き、押印して作成します
    パソコンでの作成は認められません
  • 証人は不要で費用はかかりません
  • 保管している間に、遺言書の偽造や変造、隠匿の危険性があります
    なお、相続人がこのような行為をした場合には相続人の資格を失います
  • 保管場所は遺言者に任されているので遺族にわからないことがあります
  • 開封時に裁判所の検認が必要となります
自筆証書遺言のポイント
  • 全文手書きであることが必要
    音声を録音したものや映像に残したものは遺言としての法的な効力を持ちません
  • 日付の記載がない遺言書は無効
    暦上の日付がなくても「75歳の誕生日」のように客観的に特定できる日付であれば有効です
  • 誰であるか明確にわかれば氏名は実名以外のペンネームなどでも可能
  • 押印は実印でなくても構わない
    拇印も認められています
  • 意思時表示には、相続させる、遺贈する、取得させるなどの表現が使用される

公正証書遺言

公正証書遺言は、証人2名の立会いのもと、公証役場にいる公証人が関与して作成します。
公証人に自宅や病院に出張してもらうこともできます。
公証人手数料がかかりますが、検認が不要であることや、原本は公証役場で保管されるので、偽造や変造、破棄の恐れがないことから、生前対策としてはもっとも有効なものと言えるでしょう。

  • 2人以上の証人の立会いのもとで、公証人に対して、遺言者が遺言の趣旨を口頭で述べて作成します
  • 病気などで字の書けない人でも作成できます
  • 遺言者が公証役場に行って口頭で述べた内容をもとに法律の専門家である公証人が作成したもので無効になるおそれはほとんどありません
  • 財産の額に応じた手数料がかかります
  • 紛失したり、第三者に破棄されたりしても、原本が公証人によって保管されているので、同じ文書を再発行してもらうことができます
  • 偽造される可能性が少ない
  • 裁判所の検認は不要なのですぐに内容を確認できます

秘密証書遺言

秘密証書遺言は実際にはあまり使われていません。

秘密証書遺言は、遺言者が署名押印した書面を封印して、公証人と証人2名にその封書が自己の遺言書である旨を申述する必要があります。
誰にも内容を知られずに作成することができますが、自筆証書遺言と同様に、内容や様式に不備が生じる可能性はあります。
また、遺言書の検認手続きも必要となります。

  • 遺言の内容を誰にも明らかにせずに遺言者が自分で作成します
  • 遺言者が自筆か代筆、パソコンなどで作成して、自筆で署名します
  • 証人2人の同行のもとに公証人に提出する必要があり、その後は自分で保管します
  • 保管場所は遺言書にまかされているので遺族にわからないことがあります
  • 保管していある間に紛失するおそれがあります
  • 開封時に裁判所の検認が必要です

法的に有効な遺言の内容

次の事項について遺言した場合に法的な効果があります。

また、遺言書に、Aに子どもが生まれたら○○の土地を与えるのような条件をつけることもできます。

相続及び財産財産の処分

相続分の指定、その他の遺産分割に関すること、相続人の廃除や廃除の取り消し、遺贈、寄付、信託設定、生命保険金の受取人の指定など

身分に関すること

子の認知、未成年後見人や後見監督人の指定など

祭祀

祖先の墓や仏壇などを守る祭祀承継者の指定

その他

遺言執行者の指定など

遺言に関するQ&A

遺言書はパソコンで作成できるの?

本来、遺言書は、全文を遺言者本人が書かなければならないことになっています。
このような遺言書を自筆証書遺言と言います。
それは、筆跡によって本人が書いたものであると判定できることで、その遺言書が本当に遺言者の真意に基づいて作成されたものだと保証されるためです。

自筆証書遺言は、公正証書遺言などと異なり、作成にあたって承認や立会人の存在が不要です。
それだけに、偽造や変造の危険性が大きく、遺言者の真意によるものかをめぐって、争いが生じやすいです。
そのため、自筆であることが重要で、筆跡が本人のものであるかについても厳格に判断されます。

つまり、タイプで打ったものやコピーしたもの、パソコンによって作成したものは、自筆に該当しないと考えられており、遺言として無効になります。
また、点字による遺言も、自筆証書遺言の条件を満たさないとされます。

病気などで自分で遺言がかけない場合は、口頭で述べた内容を公証人が文書にまとめてくれる公正証書遺言にするとよいでしょう。

死後、誰が遺言の内容を実現してくれるの?

遺言の中で遺言執行者を指定することができます。
指定された遺言執行者は、相続財産の管理、その他遺言の執行に必要な一切の権利義務を有します。
遺言を残す者にとって遺言執行者は、遺言に残した自ら意思を実現してもらう重要な存在です。

遺言書が2通ある場合はどうなる?

遺言は、一度作成したあとでも、一定の方式にしたがっていれば、その全部または一部を取り消せることになっています。
そのため、遺言書が2通あって内容に異なる部分がある場合は、あとに作成された遺言によって、先に作成された遺言の該当する部分が、取り消されたことになります。

たとえば、「不動産○○をAに与える」という遺言作成後に、「不動産○○をBに与える」という遺言が作成された場合には、新しい遺言のほうが有効となります。

遺言は書き直せるの?

遺言を残した後に状況や気持ちが変わることが考えられます。
その場合には、いつでも遺言を撤回することができます。
遺言の撤回は、新たに遺言を作成する方法によって行われます。
公正証書遺言以外の遺言の場合には、遺言を故意に破棄することによって撤回することも可能です。

15歳以上の未成年や認知症の人も遺言は可能?

未成年者であっても15歳になれば単独で遺言を行うことができます。

また、知的障害や精神障害認知症などで判断能力が低下している被保佐人や被補助人も、保佐人や補助人の同意がなくても遺言をすることができます。

さらに、判断能力が失われた成年被後見人でも、正常な精神状態になっている時には、医師2人以上の立会いの下に単独で遺言をすることができます。

未成年者、非保佐人、被補助人、成年被後見人制限行為能力者と呼ばれ、保護が必要なために、契約などの法律行為を単独で行うことは制限されています。

しかし、遺言は本人の最終意思を尊重する制度なので、制限規定が適用されないことになっています。

遺言者が連名の場合はどうなる?

同じ遺言書によって2人以上の人が遺言をすることは共同遺言と言われて禁止されています。
共同遺言が認められていないのは、遺言者が自分の意思で自由に遺言を作成したり、取り消したりする上で支障があるためです。

また、1人の遺言に無効となる原因があるような場合に、もう1人の遺言をどのように処理するかについて、複雑な法律関係が生じるためです。

したがって、例えば、父親と母親の連名で書かれた遺言書は無効です。

遺言で相続させると指定した者が先に死亡したらどうなる?

遺言で財産を相続させる者を指定することができます。
その者が遺言者よりも先に死亡した場合には、原則として、その部分は失効します。
そのため、「Aが遺言者の死亡以前に死亡した場合にはBに相続させる」という予備的な遺言は有効となります。

押印は拇印でも大丈夫?

遺言書に押印が必要なのは、作成された遺言書が真正のものであることを保証するためです。
また、日本では伝統的に「重要な文書は作成者が署名と押印をすることによって完成する」という慣例や法意識があることも、押印が条件とされる理由と考えられています。

しかし、使用すべき印章については、特にルールはありません。
実印である必要はなく、押印でも拇印でも構わないと考えられています。
したがって「拇印によって押印されていたから」という理由だけで、遺言書が無効になるようなことはありません。

特別方式の遺言

自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つは、普通方式の遺言と言います。

それに対して、非日常的な状況に置かれた人に認められている特別方式の遺言というものがあります。

次の4つがあり、簡略化された特別な作成方法が認められています。

ただし、普通方式での遺言が可能になってから6ヵ月生存すると無効になります。

一般危急時遺言

遺言者が危篤になり、急いで遺言をしなければならない場合

難船危急時遺言

乗っていた船舶が遭難した場合

一般隔絶地遺言

伝染病にかかり、隔絶されている場合

船舶隔絶地遺言

船舶の中にいる場合

遺言書の検認

被相続人の残した遺書が、自筆証書遺言か秘密証書遺言の場合は、遺言書の内容を実現するために、家庭裁判所で遺言書の検認を行います。
検認とは、裁判所による遺言書の検証手続きです。
遺言書が封印されていた場合には、相続人または代理人の立会いのもとで、家庭裁判所において開封するルールになっています。

偽造や変造を防ぐとともに、遺言書の存在を相続人や受贈者などの利害関係者に知らしめる目的もあります。
検認を怠っても、遺言書そのものが無効になるわけではありませんが、検認済み証明のない遺言書では、不動産登記や銀行の名義変更などはできません。

検認の目的

検認の目的は主に次の2つです。

  • 相続人に遺言の存在とその内容を知らせること
  • 遺言書の形状や加除訂正などの有無、日付や署名などの状態を明らかにして偽造や変造を防止すること

検認をしない場合

検認をしなくても、遺言が無効になるというわけではありません。
しかし、遺言書の保管者や発見者が、検認をせずに遺言を執行した場合には、過料*1を科されることがあるので、注意が必要です。

なお、公正証書遺言は、家庭裁判所の検認なしで、すぐに開封し、遺言を実行することができます。

遺言書の検認の申し立て

遺言書の検認の申し立ては、遺言書の保管者や遺言書を発見した相続人が、相続開始後や遺言書の発見後にできるだけ早く行うことになっています。
検認の請求は、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。
申立書や相続人目録などを提出すると、申し立て後に、裁判所から相続人に検認期日が通知されます。
改めて家庭裁判所に出向いて、遺言書の原本を提出して、検認を受けます。

遺言書の検認手続き

申立人

遺言書の保管者や遺言書を発見した相続人

申立先

遺言者の最期の住所地の家庭裁判所

必要な費用

遺言書1通につき収入印紙800円と連絡用の郵便切手

必要な書類
  1. 遺言書の検認申立書
  2. 申立人・相続人全員の戸籍謄本
  3. 遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)
  4. 遺言書の写し(遺言書が開封されている場合) など
期限

相続開始後できるだけ早く

遺言執行者の選任

遺言書の中に記載されていた内容によっては、それを実現させるために遺言執行者が必要になることがあります。
遺言では、相続や子どもの認知など、遺言に書かれている内容を具体的に実行してくれる遺言執行者を指定しておきたいものです。

遺言書には、遺言を実行する実行者が指定されていることがあり、その際には、速やかに遺言執行者に連絡を取って、遺言の実行に当たってもらいます。
たとえば、子どもの認知や相続人の廃除、遺贈などの事項が遺言書などに含まれていた場合に、それを実現するのが遺言執行者の役割です。

自分の死後、残される家族や親族によかれと思って行う遺言であっても、必ずしもスムーズに実行されるとは限りません。
相続人の数が多かったり、相続人同士の人間関係が複雑だった場合には、相続人全員の協力が得られないこともあるでしょう。
そうした場合に備えて、遺言の内容を第三者の立場から忠実かつ公平に実行してくれる遺言執行者を指定しておきます。
どんなに仲の良かった家族でも、利害が対立して、スムーズに相続が進まないことがあり、遺言を的確に実現するためには、遺言執行者が指定されているほうが良い場合もあります。

また、子の認知、相続人の廃除、廃除の取り消しを行うときは、必ず遺言執行者が必要になります。
さらに、遺産分割の指定をめぐって相続人間で争いがある場合も遺言執行者が必要になります。

遺言執行には、法律的な知識と経験が求められるので、弁護士や行政書士など専門家に依頼します。
遺言執行者には遺言執行に必要な一切の権利が与えられて、同時にその義務を負うことになります。

なお、遺言執行者は、個人だけでなく、法人もなることができ、信託銀行がその役割を受け持つこともよくあります。
ただし、未成年者や破産者などは、遺言執行者になることはできません。
また、遺言執行者に指定された場合でも拒否することは可能です。

遺言書に遺言執行者の指定がない場合

遺言執行者は、通常は遺言書で指定されることになっています。
指定がない場合や、指定された遺言執行者が死亡などによってすでにいない場合は、家庭裁判所に申し立てて遺言執行者を選任してもらう必要があります。

遺言執行者選任の申し立てを行うことが認められているのは、相続人や遺言者の債権者、遺贈を受けた人などの利害関係者です。

申立書には、遺言執行者の候補者名を書くことになっていますが、相続人間で争いがある場合は、利害関係のない第三者を家庭裁判所が指定します。

遺言執行者の選任手続き

申立人

相続人、遺言者の債権者、遺贈を受けた人など

申立先

遺言者の最期の住所地の家庭裁判所

必要な費用

遺言書1通につき収入印紙800円と連絡用の郵便切手

必要な書類

  1. 遺言執行者選任申立書
  2. 申立人の戸籍謄本と遺言者の出生から死亡まですべての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)
  3. 遺言執行者候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書、成年後見登記事項証明書
  4. 利害関係を証する資料
  5. 遺言書の写し など

期限

相続開始後できるだけ早く

*1:過料:罰として金銭を支払うこと